空売りとは、証券会社から売りたい株式を借りて市場で売り、返済期日までにその株式を買い戻して返却して、売却額と買い戻し額の利幅を狙い利益を獲得する方法のことです。
空売りをしても、買い戻した際に株式を保有しているので「配当がもらえるのでは?」と思う人がいても不思議ではありません。
しかし、実際には受け取ることができません。今回の記事では、その理由について具体的に説明していきます。
目次
信用取引について
まずは信用取引とは何かについて知っておくことが重要です。
「信用取引」とは、手持ちの現金や株式などを担保にして、証券会社からお金を借りて株式を購入したり、株式を借りて市場で売却したりして利益の獲得を狙う取引のことで、預入した担保の評価額の約3.3倍までの額の取引ができます。
信用取引には、信用買いと信用売りがあり、空売りはこの信用売りのことを意味しており、通常よりも多額の評価額の株式を売却し、買い戻すことによって上手く行けば多額の利益を獲得できるのです。
空売りとは、信用取引の1つであるので、この段落ではこの点についてしっかりと押さえていてください。
空売りでは配当金が受け取れるのか?
空売りとは信用取引の1種であると説明しましたが、配当が支払われる日である権利付き最終日の2日前まで売却せずに株式を保有している場合には配当金を受け取れるのでしょうか?
結論としては、空売りの実行者は、配当金を受け取ることができません。
理由としては、株式の実質的な保有者は空売り実行者ではなく、株式を貸し出している証券会社であるからです。
空売りになじみのない投資の初心者などの人からすれば、空売り実行者が配当金を受け取れそうに思えるかもしれませんが、実際のところそうではありません。
空売り実行者が受け取れなかった配当金はどうなるのか?
では、その受け取れなかった配当金は最終的にどうなるのでしょうか?
受け取れなかった配当金は最終的に空売り対象株式を買い建てしている人の下に配当落調整金として支払われることになっています。
配当落調整金とは、空売りする人が信用取引において権利付最終売買日をまたいで建玉を保有している場合に、その株式を買い建てしている人に対して支払わなければいけない調整金のことです。
空売り対象の株式の実質的な所有者は証券会社であり、実際に空売り実行者には配当金を受け取る権利はありません。
反対に、株式を買い建てしている人は、購入した株式は借金の担保として抑えられているものの、証券会社からお金を借りて実際にその株式を購入しているので、本来であれば配当金を受け取れると考えるのが自然でしょう。
そこで、配当金の支払時期に証券会社が間に入って、空売り実行者から配当金相当額を徴収し、買い建てしている人へ支払うという流れで、最終的に買い建てしている人の下に資金が行きつくようになっているのです。
空売りは配当金も受け取れるおいしい取引ではない!
ここまで説明してきたように、空売り実行者は配当金を受け取ることができず、空売りの利益と配当金を併せて受け取れません。
さらに加えて、空売り自体がハイリスクハイリターンの取引であることから、配当金も受け取れておいしいというような心構えで行っていると、大きな損失を抱えてしまいかねません。
実際のところ、配当金を受け取れるどころか、反対に支払わなければいけない費用があることについて理解しておかないと、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があるので、上記で説明した内容について理解しておくことは重要です。
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