株式市場は毎日絶えず変動しています。株式の取引は証券取引所で行われます。
いくつかある証券取引所のうち東京証券取引所、通称東証が2020年10月に起こしたシステム障害は大きなニュースとなりました。これは株式売買システム「arrowhead」で発生した障害により、東証が全銘柄の取引を終日取りやめました。買が終日停止されたのは1999年の取引のシステム化以降で初めてのことです。
このようにシステム障害で売買が停止されることがありますが、株価の変動幅によって売買が停止される仕組みがあります。
それが、ストップ高・ストップ安というルールであり、1日の上限価格と、下限価格が決まっており、その範囲でしか動きません。
これは個別銘柄を取引する時には知っておくべき大切なルールですのでしっかり理解しておきましょう。
目次
ストップ高・ストップ安とは
株式市場では前日終値に基づき1日の株価の変動幅が制限されています。前日の終値を基準に値幅が一定の範囲内になるように制限値幅が決められています。
前日の終値に対して値幅制限の上限いっぱいまで株価が上がることをストップ高、制限の下限まで下がることをストップ安といいます。
制限値幅の基準は以下の表の通りです。ストップ高・ストップ安は基準値段から上下約15%~30%となっています。
価格 | 値幅制限 |
---|---|
~100円未満 | 30円 |
100円以上~200円未満 | 50円 |
200円以上~500円未満 | 80円 |
500円以上~700円未満 | 100円 |
700円以上~1,000円未満 | 150円 |
1,000円以上~1,500円未満 | 300円 |
1,500円以上~2,000円未満 | 400円 |
2,000円以上~3,000円未満 | 500円 |
3,000円以上~5,000円未満 | 700円 |
5,000円以上~7,000円未満 | 1,000円 |
7,000円以上~10,000円未満 | 1,500円 |
10,000円以上~15,000円未満 | 3,000円 |
15,000円以上~20,000円未満 | 4,000円 |
20,000円以上~30,000円未満 | 5,000円 |
30,000円以上~50,000円未満 | 7,000円 |
50,000円以上~70,000円未満 | 10,000円 |
例えば、基準となる価格が1,000円であれば、ストップ高は1,300円・ストップ安は700円。
500円の場合はストップ高は600円・ストップ安は400円となります。
なぜストップ高・ストップ安があるのか
ストップ高・ストップ安は急激な株価の異常な急騰や暴落によって投資家に不測の大きな損害や混乱を与えないために設けられています。
例えば、A社の決算発表が行われ、市場の予想を大きく下回る決算内容となったとします。
その場合はA社の株価は下落するでしょう。何らかの形で株価の下落に歯止めがかかればいいですが、下落が収まる兆しがない場合はどうなるでしょうか?
おそらく多くの投資家が「もうA社はダメだ」と考えて、売りに出すでしょう。株式市場では企業分析に基づいた正確な動きではなく、上昇する銘柄はさらに上昇し、下落する銘柄はさらに下落します。
この結果、A社の銘柄は暴落してしまいます。しかし、ストップ高・ストップ安があれば、株価の急激な上昇や異常な暴落を阻止することができます。
これによって、投資家の恐怖感・過熱感が和らげられ、パニック売りなどの心理的不安による取引を一時的に抑制する効果があると言えます。
ストップ高銘柄
それでは実際のストップ高銘柄について見ていきましょう。
ここからは過去のストップ高の連続最高記録や、現在ストップ高となっている銘柄について解説します。
ストップ高の連続記録
結論から言うと、ストップ高の最高連続記録とはバリュークリック・ジャパンです。記録は17日連続 (2004年11月24日~12月16日)です。
バリュークリック・ジャパンは後のライブドア社です。ライブドア社と言えば、ホリエモンこと代表の堀江貴文氏が証券取引法違反で逮捕されたことで知られていますが、当時はストップ高となるほど大注目された銘柄でした。
17日連続というストップ高記録が打ち立てられた背景にあるのはホリエモンが従来のバリュークリック・ジャパン株の1株を100株にするという株式100分割を発表したことにあります。これは前代未聞の大規模な株式分割でした。
これによって株式の売買最低単位が2220円と極端に引き下げられたことによって誰もがバリュークリック・ジャパン株を購入しやすくなりました。
株式分割が発表されてからは売り注文の1万倍に達する約140万株(約4800件)もの買い注文が殺到しました。
バリュークリック・ジャパンは既に上場廃止となっていますので、チャートは存在しませんが、株価は45倍になったと言われています。
当のホリエモン氏はバリュークリック・ジャパン社の株価が急騰したのを見計らって、株式を大量に売り抜けて、莫大な利益を得たと言われています。結果として、ホリエモン信者と言われていた投資家が大損をする結果となりました。
現在のストップ高銘柄
2021年7月31日現在、ストップ高になっている銘柄は以下の通りです。
実際にストップ高となっている銘柄がどの水準でストップ高で取引停止となっているのか確認してみましょう。
コード | 市場 | 銘柄 | 取引値 | 前日比(%) | 前日比(円) |
---|---|---|---|---|---|
2737 | 東証一部 | (株)トーメンデバイス | 5,060 | +16.06% | +700 |
3647 | 東証二部 | (株)ジー・スリーホールディングス | 510 | +8.97% | +42 |
3936 | マザーズ | (株)グローバルウェイ | 3,105 | +19.29% | +502 |
5458 | 東証二部 | 高砂鐵工(株) | 779 | +14.73% | +100 |
6912 | 東証JQS | 菊水電子工業(株) | 1,052 | +10.62% | +101 |
8075 | 東証一部 | 神鋼商事(株) | 2,958 | +20.34% | +500 |
9073 | 東証JQS | 京極運輸商事(株) | 852 | +21.37% | +150 |
実際にストップ高となっている銘柄を見てみると、ストップ高は基準値段から上下約15%~30%となっていることが分かります。
まとめ
株式市場では投資家の利益を守るために一定の値幅を超えるとストップ高として取引が停止されます。過去に最多の連続ストップ高記録が出たのがバリュークリック・ジャパンです。
ストップ高として取引が停止されると一切の売買ができなくなるのでデイトレードなどの短期売買を行う投資家には大きな影響があります。
バリュークリック・ジャパンの場合は株式100分割という異例の決定によってもたらされたものですので、このような事態が再度起こることはないと思われますが、自分が取引をしている銘柄がストップ高やストップ安にならないか最低限の警戒はしておきましょう。
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