株の銘柄によっては「空売り規制中」となっているものがあります。
初心者だと「一体どういうことだろう?」混乱してしまう人もいるでしょう。
そこでこの記事では、株の空売り規制中という状態についてやさしく解説していきます。
目次
空売り規制中とはどのような状態を指すのか?
空売り規制中とは、その銘柄が「空売り価格規制」になっていることを指します。
空売り価格規制とは、空売りによる市場の混乱を防ぐための措置です。
空売りの価格規制のトリガーに接触した銘柄に、51単元以上の信用新規売り注文が入ると適用されます。
空売りの価格規制のトリガーに接触した銘柄というのは、「当日基準価格(通常は前日の終値)」から株価が10%以上下落した銘柄のことです。
例えば、株価が3,000円であれば、その10%である300円以上下落すると対象になります。
51単元以上というのは、その銘柄で取引される単位です。100株で取引される銘柄なら5,100株、1,000株で取引される銘柄なら51,000株です。
空売り規制になるとどうなる?
空売り規制になると51単元以上の新規売りが停止されます。
100株で取引される銘柄なら5,100株以上の新規売りが出来なくなるのです。
5,100株以上の売り注文を発注しても取消されます。
分割発注でも空売り規制の対象になることがある!
空売り規制になっている銘柄を分割発注するときは注意が必要です。
分割発注であっても空売り規制の対象になることがあるからです。
例えば、空売り規制になっている銘柄に口座や時間を分散させて5,100株以上の注文を出したとしましょう。(取引単位が100株の銘柄の場合)
この場合でも、51単元以上の信用新規売り注文として扱われ、空売り規制の対象となるのです。
よって、注文は取消されてしまいます。
それだけなら良いのですが、最悪の場合は「空売り価格規制違反」になることがあります。
空売り価格規制違反になると「金融商品取引法施行令」に基づいて、30万円以下の過料処分が課されることもあり得るため、気をつけておきましょう。
空売り規制が適用される期間はいつまで?
空売り規制が適用される期間は通常、翌営業日の取引終了日までです。
20日に空売り規制なったとすれば、翌営業日の21日の取引終了日まで適用されます。翌々営業日の22日からは適用外となり、通常どおり空売りが可能です。
ただし、空売り規制なった銘柄が複数の市場に上場しているときは例外があります。
銘柄によっては東証一部や東証二部、マザーズなど複数の市場に上場している場合もあります。その場合、どの市場が「主たる市場」なのかによって空売り規制の扱いが異なるのです。
例えば、以下のような銘柄があったとします。
- 銘柄名:X
- 主たる市場:東証1部
- サブ市場:東証2部、マザーズ
主たる市場である東証1部で空売り規制になった場合は、すべての市場で空売り規制になります。
それに対して、サブ市場である東証2部で空売り規制になったときの対象は東証2部のみです。東証1部とマザーズは対象外です。
マザーズの場合でも同様であり、空売り規制の対象になるのはマザーズのみです。
空売り規制になった銘柄は上昇しやすいって本当?
結論から言いますと、空売り規制になった銘柄は上昇しやすい傾向にあります。
理由は売れる量が制限されているため下げ止まりが起こるからです。
空売り規制は51単元以上の空売りができなくなるため、売りの圧力に上限が掛けられます。
よって、下がらないと判断した投資家が利益確定をしたり、新規買いをしたりしてくるため、株価が上昇しやすくなるのです。
とはいえ、必ず上昇するわけではありません。
また、空売り規制になった銘柄は株価が前日よりも10%以上も下落した銘柄です。10%以上も下落したということは何らかの悪材料があった可能性もあります。
買うときはそうした点をきちんと調査してからにしましょう。
空売り規制の銘柄一覧はココで検索できる
空売り規制の銘柄一覧は「日本取引所グループ」で公開されています。
常に情報は更新されており、以下のようなエクセルファイルでダウンロードできるため、確認してみましょう。
【補足】空売り規制と売り金は違うので注意!
空売り規制とよく間違えられるのが「売り金」です。
売り金とは、新規の売りが一切できない状態を指します。空売り規制とは違って、一切の売りができません。
空売り規制と売り金は似ていますが異なるため、その違いを覚えておきましょう。違いをまとめると次のとおりです。
空売り規制 | 売り金 | |
---|---|---|
規制内容 | 51単元以上の空売り禁止 | 新規売りの禁止 信用買いの現引きの禁止 |
規制が発動する条件 | 当日基準価格から10%以上下落する | 売りが多く出すぎた場合など |
規制の期間 | 規制日の翌営業日まで | 日本証券金融会社が決定 |
まとめ
空売り規制中とは「空売り価格規制」のことを指し、51単元以上の信用新規売り注文が出来なくなったことを指します。
空売り価格規制は分割発注も対象になるため、気をつけてください。
空売り規制が適用される期間は通常、翌営業日の取引終了日までとなります。ただし、複数の市場に上場している銘柄に関しては例外もあります。
空売り規制になった銘柄は上昇しやすい傾向にありますが、必ずしもそうなるわけでないため、安易な買いはおすすめできません。
空売り規制になった銘柄を調べたいときは「日本取引所グループ」のサイトから、エクセルファイルをダウンロードしましょう。
なお、空売り規制と「売り金」は別のものであるため、違いを理解しておいてください。
株式投資で月利30%を実現する3つの手法をメールマガジンで無料公開中!
⇒ 登録はコチラ