空売り価格規制は、前営業日の終値から算出する基準価格から10%以上暴落しているトリガー抵触銘柄に対して、51単元以上の空売り注文を禁止する規制です。法律に基づいたルールで、違反した場合には処罰の対象になることもあります。個人投資家は、規制の内容を正しく理解して信用取引を行うようにしましょう。
目次
空売り価格規制とは
空売り価格規制とは、信用新規売り注文に対してかかる規制のことで、トリガー抵触銘柄を51単元以上で注文することを禁止しています。
トリガー抵触銘柄とは、前営業日終値の価格から算出される基準価格よりも10%以上下落している銘柄のことを指します。そのため、例えば前日終値の基準価格が10,000円の銘柄に対しては、当日51単元以上の取引を行う場合、9,001円以上で空売り注文を入れなければなりません。
また、空売り価格規制は、「金融商品取引法施行令」と「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」に基づいて定められている制度です。取引所や証券会社の利害関係から禁止されているローカルルールではなく、法律に基づいた列記としたルールです。
空売り価格規制が必要な理由
空売り価格規制が存在する理由は、市場の混乱を避けるためです。空売りは信用取引の一種で、レバレッジをかけて株式取引ができるのが魅力です。
一方で、大きな株数を動かすことから、市場の狭い銘柄において大きな影響力となってしまう可能性が高まります。場合によっては、意図的に株価の売り崩しを行うこともできるでしょう。そこで、大きな価格変動を伴う銘柄に対しては、空売り価格規制を設けて対象の範囲としているのです。
空売り価格規制のポイント
空売り規制には、単元数の制限を正しく抑えること、取引所の対応を抑えること、トリガー抵触銘柄の期間を抑えることの3つが重要です。ここでは、50単元以下の空売り注文とトリガー抵触銘柄の注文があった場合の取引所の対応、トリガー抵触銘柄の期間について解説します。
50単元以下の空売りは大丈夫
結論から言うと、50単元以下での空売り注文は、価格規制に該当しないため、問題なく取引が可能です。
そもそも、空売り価格規制が存在する理由として、大きな価格変動によって市場の混乱を防いだり、意図的な価格操作を防いだりすることが目的です。50単元以下の空売り注文は、市場に与える影響力が小さく、言葉の通り市場の混乱を招く「トリガー」になりにくいことから、規制の対象範囲になっていません。
取引所の審査機関が注文をキャンセル
トリガー抵触銘柄を51単元以上空売り注文した場合、取引所の審査機関が自動的に注文をキャンセルします。
そのため、個人投資家は51単元以上の空売り注文を入れることで、すぐに空売り価格規制に違反してしまうことはありません。
ただし、50単元以下の空売り注文を複数回に分けて行っているなどの行為をした場合には、取引所の審査機関の審査が漏れてしまう場合があります。この場合は、空売り価格規制違反として、個人投資家は処罰の対象となりますので、意図的に取引所の審査機関の審査を逃れる手段をすることは避けましょう。
トリガー抵触銘柄の期間について
トリガー抵触銘柄には、期間があります。また、その期間は市場の場所によって異なることがあります。以下の表を参考にしてください。
トリガー抵触があった市場 | 該当する市場 | トリガー抵触銘柄の期間 |
主たる市場でトリガーに抵触した場合 | 主たる市場 | トリガー抵触より翌営業日の取引終了時点まで |
主たる市場以外の市場 | 翌営業日終了時点まで | |
主たる市場以外でトリガーに抵触した場合 | トリガー抵触銘柄が上場する市場 | トリガー抵触より同日取引終了時点まで |
それ以外の市場 | 価格規制なし |
株式は主たる市場以外にも、多くの市場で商品の売買が行われています。また、取引が行われている市場の規模や流動性の大きさによって、価格に違いが出てくる場合があります。トリガー抵触銘柄の期間については、使用している取引所で一度確認することをおすすめします。
空売り価格規制に関するよくある質問
ここまで、空売り価格規制の内容とポイントについて紹介してきました。ここからは、空売り価格規制についてよくある質問に回答していきます。
空売り価格規制に違反した場合は?
空売り価格規制に違反した場合、30万円以下の過料に処されます。
このような処罰の内容は、金融商品取引法施行令に明記されています。空売りにおいても、節度を持った金融取引を心がけましょう。
複数取引所での注文はセーフ?
同一銘柄を別の取引所で同時に空売りする行為は、その取引銘柄が合計で51単元以上であり、トリガー抵触銘柄として認定されている場合、空売り価格規制違反となります。違反者は罰則の対象となるほか、場合によっては取引所の利用を制限されてしまう可能性もあるため、絶対にやめましょう。
機関投資家の場合は?
空売り価格規制は、機関投資家は単元数に関係なく規制の対象になります。
そのため、51単元以上という制限はなく、1単元からトリガー抵触銘柄の取引については規制がかかります。理由は、機関投資家が個人投資家に比べても、潤沢な資金で売買が可能となり、市場での影響力が大きくなるためです。
空売り価格規制に注意して信用取引を行おう
空売り価格規制は、大きな下落時に起きる市場での混乱を抑制するため、大株主による意図的な価格操作を防止するために、「金融商品取引法施行令」と「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」に基づいて設けられている規制です。個人投資家の場合、すべての空売り注文に該当するのではなく、トリガー抵触銘柄として認定された銘柄かつ51単元以上の空売り注文をする場合にのみ適応されます。
複数の取引所で同一のトリガー抵触銘柄の空売り注文を行ったり、50単元以下の空売り注文を複数回入れたりするなどの行為は規制に違反します。51単元以上の空売り注文を行うときには、特に注意して注文を行うようにしましょう。
株式投資で月利30%を実現する3つの手法をメールマガジンで無料公開中!
⇒ 登録はコチラ