株の用語には「配当落ち」というものがあります。
配当落ちは配当金や株主優待を狙うならぜひ理解しておくべきものです。
とくに空売り時には発生するコスト等もあるので詳細を知っておかないといけません。
そこでこの記事では配当落ちについて詳しく解説。
当記事を読めば配当落ちを理解でき、配当金や株主優待を狙う際の失敗を防ぐことが可能です。
目次
株の配当落ちを正しく理解しよう!
配当落ちとは配当を受ける権利が「権利確定日」の翌営業日に無くなることを指します。
権利確定日とは株主として株主名簿に登録される日です。また、権利確定日の2日前は「権利付最終日」とし、この日まで株を買えばその銘柄の配当を受ける権利を得られます。
権利付最終日の翌日は「権利落ち日」となり、この日以降なら権利付最終日までに買った銘柄を売っても配当が得られます。
例えば、その月の末日が31日だとし、31日が権利確定日だとすれば、権利付最終日と権利落ち日、権利確定日は以下のようになります。
上記のケースだと29日で株を買えばその銘柄の配当を受ける権利を得られます。
そして30日以降であれば保有株を売っても配当を得ることが可能です。
31日の権利確定日は株主として株主名簿に登録される日です。
このため、ここまでの例ですと翌月の1日が配当落ちです。
配当落ちである1日以降に株主名簿に登録された場合はその期の配当は受取ることはできません。配当を受取るには権利付最終日である29日に株を購入し、その日の午後15:15まで保有している必要があります。
配当分の値下がりを配当落ちと呼ぶこともある
配当を受ける権利が確定した翌日(権利落ち日)を配当落ちと呼ぶこともあります。
配当の分だけ実質的に株価が低くなるからです。
例えば、株価500円の銘柄に10円の配当金があるとしましょう。
10円の配当金が貰えない場合は「500-10=490」で株価は実質490円になります。
こうした配当分の値下がりを配当落ちと呼ぶこともあります。
この配当落ちを利用して空売りする手法がありますので次章で解説します。
配当落ち後の値動きを狙って空売りするのは有効か?
一般的に配当落ち後は株価が値下がりする傾向にあると言われています。
権利付最終日の翌日である権利落ち日は株価が下落しやすいのです。 この傾向を狙って権利付最終日に空売りしておき、権利落ち日に買い戻すという手もあります。そうすれば下落した分だけ利益を得ることが可能です。
しかし、あまりおすすめできる方法ではありません。
第一の理由は確実に下落するわけではないからです。
あくまで下落する傾向があるというだけであってそうならないケースも多々あります。そのため、むやみに売りを仕掛けるのは得策ではありません。
第二の理由は「配当金調整」があるからです。
権利付最終日に空売りすると配当金調整というコストが発生し、場合によっては利益よりも調整金のほうが高くなってしまうこともあります。この点については次章で詳しく解説しています。
権利付最終日の信用取引に必要となる「配当金調整」とは
配当金調整とは、権利付最終日をまたいで信用取引で売買した際の調整金です。
証券会社が売り建てしている人から徴収し買い建てしている人に支払います。
原則として信用取引で株を買っても配当を受けることができません。
信用取引は証券会社から株を借りる取引方法ですので株主になることが出来ないからです。
ただし、信用買いの人は権利付最終日までに株を購入すれば「配当金調整額」を受取ることが可能です。先述したとおり、配当落ち後は株価が配当の分だけ実質的に値下がりします。それを調整するためにあるのが配当金調整なのです。
配当金調整は売り建てしている人から徴収し買い建てしている人に支払いますので、空売りしていると支払が必要になります。
配当金調整の金額
配当金調整の金額は空売りしている人ですと以下のとおりです。
信用取引の種類 | 配当金調整の金額 |
---|---|
制度信用取引 | 配当金額から15.315%の源泉徴収税額相当分を控除した後の金額(配当金×84.685%) |
一般信用取引 | 配当金額全額(配当金×100%) |
配当金が5,000円の場合で考えてみましょう。
制度信用取引であれば「5,000円×84.685=約4,234円」となり、約4,234円の支払が必要です。一般信用取引は配当金額の100%ですので5,000円の支払いが必要になります。
ちなみに信用買いの人は「配当金×84.685%」の金額を受取ることが可能です。
配当金が5,000円であれば約4,234円を受取れます。
配当金調整の支払時期
配当金調整の支払時期は銘柄によって異なります。
ただし、権利確定日の3~4ヶ月後が基本であり、証券会社の口座から入金あるいは出金されます。
空売りのような信用取引では株主優待は受けられないので注意!
空売りのような信用取引では株主優待は受けられないと知っておきましょう。
株主優待はその銘柄の株主になる必要があるからです。
先にもお伝えしたように信用取引は証券会社から株を借りる取引方法です。
株主は貸し手である証券会社のままですので、借り手は株主になれず優待も受けられないのです。これは信用売りだけでなく信用買いでも同様になります。
ただし、「優待クロス」という方法を使えば信用売りしている場合でも株主優待を受けられます。詳しくは次章をご確認ください。
株主優待を狙うなら「優待クロス」がおすすめ
優待クロスとは、株主優待を目的に同じ銘柄を現物買いと信用売りで同数保有する売買手法です。
例えば、Xという銘柄の株主優待を受けたいとします。
このとき、銘柄Xを「現物買い100株・信用売り100株・400円に発注」というように、同じ枚数&同じ株価で注文を出すのです。
そのようにすれば株価がどう動いても買いと売りの利益によって損益は相殺されゼロにできます。
上記の例では現物買いの利益5,000円に対して信用売りの損失が5,000円出ています。2つの取引の損益が同額なので相殺することができ損益はゼロ円です。
このため、株価変動によるリスクを防ぐことが可能です。なおかつ現物買いをしているので株主になることができ、株主優待を受けることができるというわけです。
そんな優待クロスの手順は以下のとおりになります。
- 権利付最終日の寄付前までに現物買いと信用取引の売り注文を同じ株数で「成行注文」する
- 権利付最終日まで保有する
- 権利付最終日の午後15:15以降に保有した株を決済する
権利付最終日の「寄付前(株式市場が開始する前)」までに現物買いと信用取引の売り注文を同じ株数で成行注文しましょう。寄付以降ですと売りと買いを同じ株価で約定させるのが難しいため、必ず寄付前まで注文しておいてください。
売買した株を権利付最終日まで保有します。
権利付最終日が27日なら27日の取引終了時間までは保有するということです。その前に手放すと優待が受けられないので注意です。
権利付最終日の午後15:15以降に保有した株を決済します。
午後15:14以前に手放すと権利が消失するので気をつけてください。
まとめ
配当落ちとは配当を受ける権利が「権利確定日」の翌営業日に消失することを意味します。
また、配当を受ける権利が確定した翌日には配当額の分だけ実質株価が下落しますが、それを配当落ちと呼ぶこともあります。
後者の配当落ち後は株価が下落する傾向があります。
ただし、確実にそうなるわけではなく、「配当金調整」による損失もあるので注意しないといけません。
なお配当金や株主優待を受けられるのは現物買いのみです。
信用売り(空売り)と信用買いは株主になれないため、配当を受けられません。
ただし、「優待クロス」なら空売りしつつ株主優待を受けられます。 優待クロスなら株価変動のリスクを抑えながら株主優待を受けられるため、株主優待が目的ならこの手法がおすすめです。
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