「空売り比率の計算方法を知りたい!」この記事はそうした人に向けて書きました。また、指標の数値の目安や使い方、注意点まで解説しています。お読み頂ければ、空売り比率をトレードの役に立てられるようになりますのでぜひ参考にしてください。
目次
空売り比率の計算方法はとてもシンプル!
空売り比率の計算方法は「信用売り(空売り)金額÷売り注文の合計金額×100(%)」となります。例えば、以下のケースで計算してみましょう。
- 信用売り(空売り)金額:2,000万円
- 売り注文の合計金額:1億円
この場合、「2,000万円÷1億円×100=20」となり、空売り比率は20%です。よって、売り注文の合計金額の20%は空売りだったということになります。残りの80%は買い手の決済の売りです。
なお、実際の数字は「日本取引所グループ」が「空売り集計」として出しており、このデーターの「価格規制あり・なし」を合計したものが空売り比率となります。
上記のケースであれば、価格規制ありが36.4%で価格規制なしが7.6%です。合計して「36.4%+7.6%=44%」となり、空売り比率は44%になります。
空売り比率はどう使う?その目安
空売り比率の使い方ですが、20%を切ると高値圏でなったと判断し、30%を超えると底値圏になったと判断するのが一般的です。
空売り比率は、信用取引において空売りをされたまま買い戻されてない株がどれくらいあるかを見る指標です。よって、数値の大小によって次の予想ができます。
- 数値が低い:買いの決済売りが多く天井打ちの可能性
- 数値が高い:空売りが多く買い戻しによる上昇の可能性
空売り比率の数値が低いということは空売りの数が少なく、買いの決済売りが多いことを意味します。買いポジションを手放す投資家が増えていることになりますので、相場が天井打ちになる可能性があると予想ができるのです。
空売り比率の数値が高い場合は空売りの数が多いことを意味します。
空売りは保有できる期限が決まっているため、いつかは買い戻されることになります。このため、空売り比率の数値が高くなるほど買い戻しによって、株価が上昇する可能性があると予想が可能です。
2013年以降は数字が高めになりやすくなっている
空売り比率で気をつけたいのが2022年現在は数字が高めになる傾向があることです。その原因は2013年に執行された2つの法改正です。
- 信用取引での回転売買の可
- 空売り規制の緩和
2013年1月から信用取引の「証拠金規制の緩和」がされ、信用取引での回転売買が可能になりました。従来は証拠金を使いまわすことができませんでしたが、規制の緩和によって「信用売り→買戻し→信用売り→買戻し」と1日に何度も売買できるようになったのです。
2013年11月から「空売り規制の緩和」がされました。従来はすべての銘柄に空売り規制が適用されており、51単元以上の売りは禁止されていました。しかし、空売り規制の緩和あとは「トリガー接触銘柄(当日の基準価格から10%以上下落した銘柄のこと)」のみになったのです。これによって、空売りの利便性が高まり、その取引量が増えたと言われています。
以上、この2つの法改正によって2022年現在は空売り比率が高くなる傾向があります。そうしたことから空売り比率だけで判断せずに、他の指標やチャートなどを使い、多角的に分析していくことが求められます。
空売り残高比率と間違えないように要注意!
空売り比率と間違いやすい指標が「空売り残高比率」です。2つの指標は似ていますが異なるため、混同しないように正しく違いを理解しておきましょう。
空売り残高比率とは、空売り残枚数を1日の出来高で割って算出した指標になります。計算式は「空売り残株数÷1日の出来高×100(%)」です。
これに対して空売り比率とは、空売りの金額を売り注文合計で割って算出した指標です。計算式は「信用売り(空売り)金額÷売り注文の合計金額×100(%)」となります。
このように空売り残高比率と空売り比率は計算式が異なるため、算出される数値の意味も次のように異なってきます。
- 空売り残高比率:その銘柄の1日の出来高に対して空売りがどのくらいあるか
- 空売り比率:その銘柄の売り金額に対して空売り金額がどのくらいあるか
空売り残高比率はこう使う!
空売り残高比率の使い方も空売り比率とほぼ同じです。
現在、空売りがどの程度あり、将来の株価にどのような影響を与えるかを確認します。ただし、空売り残高比率は1日の出来高を使うため、空売り比率とは違った角度から分析が可能です。
空売りの数が同じでも、1日の出来高の数によって買い戻し時に株価に与える影響力が違います。例えば、以下のように空売りの数が30万株と同じ銘柄があったとします。
・銘柄A :
空売り残株数:30万株
1日の出来高:100万株
空売り残高比率:30万株÷100万株×100=30%
・銘柄B:
空売り残株数:30万株
1日の出来高:300万株
空売り残高比率:30万株÷300万株×100=10%
上記の空売り残高比率は銘柄Aが30%、銘柄Bが10%です。空売りの数が30万株と同じでも銘柄Aのほうが出来高に対して比率が多いことになり、空売りしている人が多いことになります。このため、買戻しが沢山入ったときに株価に与える影響は銘柄Aのほうが大きいと予想できるのです。
このように空売り残高比率は1日の出来高に対して空売りがどの程度あるか確認できます。よって、空売り比率とは違う角度から買い戻しの影響を分析できるのです。
まとめ
空売り比率の計算方法は「信用売り(空売り)金額÷売り注文の合計金額×100(%)」です。比率の判断基準は一般的に20%以下だと高値圏、30%以上だと底値圏だとされます。
ただし、2013年に執行された2つの法改正によって現在は空売り比率が高くなる傾向があります。空売り比率が高いからといって安易に買いを行なってはいけません。他の指標やチャートなどを使い、本当に買うべきなのかをきちんと分析する必要があります。
なお、空売り比率は「空売り残高比率」とは違う指標です。名前と役割が似ているため間違いやすいですが、混同しないようにしてください。
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