株の取引は、買いたい時に売ってくれる人が、売りたい時に買ってくれる人がいないと、成り立ちません。
ですから売買の注文を出しても、価格が折り合わずに取引相手が存在しない時、その売買は不成立となります。
そんな売買不成立の仕組み、回避法、それに対する心構えをご紹介していきましょう。
目次
株の売買不成立の仕組み
市場における株価というのは、証券会社が決めるものでも、株を発行している会社が決めるものでもありません。
A社の株価が現在1,000円で、あなたがそれを950円で買いたいと考え、注文を出したとします。
しかし、最安値で売ってくれる人が現在1,010円での売り注文を出していれば、あなたは950円で買うことはできません。
そして、誰かが1,010円での買い注文を出せば、取引成立です。
株価は1,010円に上がります。そしてあなたの950円での買い注文は、不成立となるのです。
市場の株は、このように売買され、値がつけられます。
需要と供給が一致する点で価格が形成され、あなたが買いたい価格で売ってくれる人がいなければ、またはあなたが売りたい価格で買ってくれる人がいなければ、その株の売買は不成立となってしまうのです。
成行注文をすれば株の売買不成立は確実に回避できる
しかし、確実に売買を成立させる方法があります。それは「成行注文」を出すことです。
成行注文とは文字通り価格にこだわらない注文方法で、これをすれば自動的に株の売買不成立は回避できます。
成行の買い注文を出せば、その時点で最も安い売り注文を出している相手との取引が成立します。
ですから、損切りをしたい時や上昇確実だと信じる株をいち早く買いたい時など、価格にこだわらずとにかく売買を成立させたい時には、成行注文によって売買を成立させれば間違いがありません。
板を読んだ指値で株の売買不成立を回避する
しかし、そうでない場合は、少しでも安く買い少しでも高く売りたいのは、当然の投資家心理です。
そこでそのためには、「板」を読んだ指値注文をすることで、売買不成立を回避しつつ、少しでも良い価格で売買することが可能になります。
以下の画像をご覧ください。
これはある銘柄の板ですが、画像上部には、現在株価の1,004円が表示されています。
そして青字で表示されている数字をご覧ください。ここから、1,005円での売り注文が4,000株出ていることがわかります。
そしてその上を見ていくと、1,006円で24,300株、1,007円で26,000株の売り注文が出ていることがわかります。
次に青字で表示されている数字の下をご覧ください。こちらからは、1,002円で9,700株の買い注文が出ていることがわかります。
そしてその下を見ていくと、1,001円で8,500株、1,000円で37,300株の買い注文が出ていることがわかります。
ですから、今1,002円で100株の買い注文を出せば確実に買うことができるでしょう。
しかし、1,006円や1,007円での売り注文も多く入っているため、その人たちが妥協し、今後1,001円以下で売ってくる可能性もあります。ですから1,001円以下で買うこともできるかもしれません。
「板」とはこのように、価格ごとの注文状況を一覧した情報です。
そしてこれを読んで指値注文を出すことにより、売買不成立を回避しながらも、より良い価格での売買が可能になるのです。
株の売買不成立を肯定的に捉えることも必要
しかし、ただ単に売買不成立を回避すれば良いわけでもありません。
株式投資で利益を出すためには、売買価格がとても重要です。
いくら良い銘柄でも、買い値が高すぎれば得られる値上がり益は少なくなるでしょう。
また、少しの値上がりで売ってしまったけれど、その株がその後さらに値上がりしていく、という場合もあります。
大切なのは、妥当な買い値と売り値を自分自身で判断することではないでしょうか。
ですから、妥当だと思える値で買い注文を出し、それが売買不成立になっても次のチャンスをじっくり待つ。
妥当だと思える値で売り注文を出し、それが売買不成立になっても同じく次のチャンスをじっくり待つ。
焦って不用意に売買を成立させるよりも、売買不成立を恐れずに納得できる価格になるのを待つ心構えも投資には必要ではないでしょうか。
ちなみに、世界一の投資家と称されるウォーレン・バフェット氏も、「投資の世界には、見送りの三振がありません」と語ったそうです。
見極めよう―とにかく売買を成立させるべきか、売買不成立でも構わないのか
株価は需要と供給によって形成され、売り値と買い値が折り合わない場合、その株の売買は不成立となります。
それを回避するためには、成行注文をするのが確実です。また、板を読んで注文することで、売買不成立を避けながら、より良い価格での売買を成立させることも可能です。
しかし株式投資で利益を上げるためには、売買不成立を恐れず妥当な価格での売買にこだわることも必要です。
とにかく売買を成立させるべきなのか、価格にこだわり売買不成立でも構わないのか、その見極めが重要ではないでしょうか。
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