株式を売却して利益が出た場合は、課税の対象になり、譲渡所得として税金を納める必要が出てきます。
しかし、株式を売却して損が出ることもあります。
そのため、利益と損失を通算して最終的に損益を計算します。なので、その年の最終損益は、その年が終わるまでわかりません。
その計算はどのようにして行うのか?
対象期間はいつからいつまでになるのか?
今回は、そういった株式の損益通算の対象期間、損益通算や特定口座とどのように関わってくるのかをご説明します。
目次
株の損益通算は譲渡所得として計算
株式の売却益は、譲渡所得に該当します。
譲渡所得は、株式だけでなく、金融所得課税の一体化(2016年以降)により、投資信託、債券などの金融商品も該当し、株と損益通算を行うことができます。
今後、他の金融商品も取引するようになれば、その商品がどの所得区分になっているかによって損益通算ができるか、できないかに分かれるので、税金区分を確認することも大切です。
損益通算は、下記のようになり、株式を取得するのにかかった金額は、買付金額だけでなく、買付時の手数料、売却時の手数料も費用に含まれます。
その株式を取得するのにかかった金額 < その株式を売却した金額 → 益
その株式を取得するのかかった金額 > その株式を売却した金額 → 損
こういった損益通算の計算は、売買の都度確認しないといけないのですが、そのような計算をしなくても良いように、証券会社では税金の計算をする特定口座を開設することができます。
特定口座を開設すれば、自動的に売却の都度計算されるようになっているので、損益状況を確認するだけでよくなります。
さらに、特定口座の申告不要(源泉徴収あり)を選択すれば、原則、確定申告は不要となる(代わりに証券会社が行うため)ので、確定申告の手続きも必要ありません。
しかし、証券会社を複数保有してそれぞれに取引を行っている場合は、個々に計算されるので、合算して通算する場合は、確定申告の手続きが必要になります
損益通算の期間はいつからいつまで
税金の損益通算期間は、1月からその年の12月の取引を1年として計算します。
しかし、損益通算の計算期間は受渡日ベースで行われます。
株式の取引は、売買が成立する約定日と取引の精算が行われる受渡日に分かれていますが、税金の計算は、取引の決済が行われる受渡日が基準になっています。
そのため、年末などは約定日と受渡日で年をまたいでしまうので、税金の計算や取引をする上で注意が必要です。
例えば、下記は2020年の年末の最後の取引の日程なのですが、年内最後の取引は12月30日です。
1営業日 | 2営業日 | 3営業日 |
約定日 | 受渡日 | |
12月28日 (12月決算銘柄権利月最終日 | 12月29日 (12月決算銘柄権利落ち日) | 12月30日 (大納会) |
年末に入って、今年の損益状況から損益通算のために年内に売却をしたとしても、12月29日から受渡日が来年の1月にまたがっています。
12月29日の取引は暦の上では年内の取引ですが、税金の計算の対象期間としては来年の取引となります。
そうなるとせっかく売却したのに損益通算を行うことができません。
年末あるあるパターンなので、受渡日を間違えないように注意が必要です。
特定口座を開設していても、売却日までは管理していないので、損益通算する場合は自分自身で、確認しておく必要があります。
譲渡損失の繰越控除とはどんな税制?
損益通算は、1年ごとに計算して税金を納めますが、控除しきれなかった損失は繰越しをすることができます。
譲渡損失の繰越控除という制度があり、この制度はその年に控除しきれなかった損失が出た場合に、その損失を翌年以降3年間繰越しして益金と通算できる制度です。
しかし、この制度を使うには毎年確定申告をする手続きが必要になります。
たとえ、特定口座で申告不要の口座にしていても必要となります。
また、年金受給者や専業主婦の方がこの制度を使うことによって、ご自身の社会保険料の額や扶養控除などに大きく影響が出る場合もあり、必ずしもこの制度を使うことが良いとは限りません。
制度を利用する場合は、税理士の人や税務署など確認してから利用した方が良いでしょう。
まとめ
株式の損益通算は受渡日ベースで計算されるので、年をまたぐ年末は特に注意が必要。
年内の売却がいつまでかを確認して、売却を行うことが必要になります。
特定口座を開設することで、株式の損益通算が自動的に計算されるので、自身で計算する必要はなく、さらに申告不要(源泉徴収あり)を選択することで、確定申告も不要になります。
ただし、複数の証券会社で特定口座を開いており、まとめて損益通算する場合は確定申告が必要です。
譲渡損失の繰越控除は、損失を繰越して翌年以降3年間、益と損益通算できる制度ですが、年金受給者、専業主婦など、場合によっては自身の所得状況に影響が出る場合もあるので利用する場合は注意が必要です。
株式投資で月利30%を実現する3つの手法をメールマガジンで無料公開中!
⇒ 登録はコチラ