株式投資において、板の見方がわかれば、株価の値動きが予測しやすくなり取引が活発な株もわかります。また、利確や損切り判断にも役立てることが可能です。
ここでは、株式投資の板の見方や板を活用するメリット・注意点を解説します。株初心者の方は、ぜひご覧ください。
目次
株式投資の板の見方
板とは、値段ごとに表示された買い注文・売り注文の一覧表です。
板を見ることで「●●円で買いたいとする注文が■■株入っている」「△△円で売りたいとする注文が■■株ある」など、注文状況が一目でわかります。
多くの投資家は、板情報も見たうえで株の売買を行います。
板の見方を覚えることで、その株の注目度や流動性、株価の動向などがわかります。
気配値や売数量・買数量、売り気配値や買い気配値など、まずは基本的な板の見方について覚えておきましょう。
気配値
気配値(けはいね)とは、板の中央に表示される株式の注文価格のことです。
現在の株価を中央にして、上にいくほど価格は高く、下にいくほど安くなります。
気配値とあわせて買数量と売数量を見ることで
「●●円で買いたい」
「■■円で売りたい」
という注文がどのくらい入っているのかがわかります。
気配値は次で解説する「買数量」「売数量」と一緒に見るのが基本です。
売数量・買数量
板の「売数量」「買数量」は値段ごとの売買注文数を表しています。
気配値の左側が、売りたい人の株数を表す売数量、右側が買いたい人の株数を表す買数量です。
たとえば、次のような板があったとします。
1,261円の売数量が1,900となっていますが、これは「1,261円で売りたい」という注文が1,900株入っていることを表します。1,267円であれば売数量は2,700株です。
一方、1,258円の買数量は600株です。これは「1,258円で買いたい」という注文が600株あることを表しています。1,251円であれば買数量は6,100株です。
値段ごとに売数量または買数量しか表示されていないのは、その気配値で「売数量>買数量」もしくは「買数量>売数量」となっているからです。
板の気配値の上にある「OVER」と下にある「UNDER」は、次のことを表しています。
- OVER:表示されている気配値よりも「高い」注文株数
- UNDER:表示されている気配値よりも「安い」注文株数
たとえば、気配値1,250円の上にOVERが表示されていて、売数量が12,000ある場合は「1,251円以上の指値注文が12,000株入っている」ということです。
また、気配値1,000円の下にUNDERがあり、買数量が8,000の場合は「999円以下の指値注文が8,000株入っている」ことを表します。
OVERも含めた売数量とUNDERも含めた買数量を比べてみることで「売りたい」と「買いたい」のどちらが強いか判断できます。
- 売数量80,000:買数量20,000→圧倒的に売数量が多く株価が下落する可能性が高い
- 売数量50,000:買数量50,000→売りと買いが拮抗していて株価はあまり動かない可能性
- 売数量20,000:買数量80,000→圧倒的に買数量が多く株価が上昇する可能性が高い
このように、売数量と買数量を比べることで株価の動向を予測することが可能です。
ただし、板情報に反映されるのは指値注文だけで、約定せずキャンセルになる注文もあるため、必ずしも上記のようになるわけではありません。1つの板の見方として覚えておきましょう。
買い気配値・売り気配値
「買い気配値」「売り気配値」は、次のことを表します。
- 買い気配値:買い注文の中で最も高い値段のこと
- 売り気配値:売り注文の中で最も安い値段のこと
次のような板があったとします。
この場合、買い気配値は買い注文が入っている中で最も高い値段なので673円です。
一方、売り気配値は、売り注文が入っている中で最も安い値段になるので676円になります。
買い気配値が高ければ需要があることがわかり高く売却できますし、売り気配値が安ければ早く売りたいと考える人がいることがわかり安く購入できます。
買い気配・売り気配
「買い気配」「売り気配」の用語の意味も押さえておきましょう。買い気配・売り気配とは、どちらか一方的に注文が入っていて、売買が成立していないことです。
- 買い気配:買い注文が極端に多く売り注文が少ない
- 売り気配:売り注文が極端に多く買い注文が少ない
売り気配のことをヤリ気配ともいいます。
板に表示されるマーク
板には、次のようなマークが表示される場合がありますので、何を表すのか把握しておきましょう。
「特」
特別気配を表します。
買いまたは売りが殺到し、一時的に取引が停止された場合に表示されるマークです。
「S」
ストップ高・ストップ安を表します。
ストップ高は値幅制限の上限まで株価が上がることで、ストップ安は制限の下限まで株価が下がることです。
前日終値をもとにした基準値段から、おおよそ15%〜30%変動するとストップ高やストップ安になります。
ストップ高・ストップ安になった場合は、その日は取引ができなくなります。
「前」
寄り付き前を表すため、取引開始前に「前」マークが表示されます。
「注」
最後の約定価格から一定以上値幅のある値段で注文があった場合に表示されます。注意気配を表します。
「連」または「K」
連続約定気配を表します。連続約定気配とは、連続して注文が約定することで、株価が急変動する可能性があります。
このようなマークが板には表示されますので、それぞれの意味合いを押さえておきましょう。
注文数が多いほど板は厚くなる
板の見方として、注文が多く入っている場合は「板が厚い」と表現します。逆に、注文があまり入っていない場合は「板が薄い」といいます。
板が厚いと取引が活発で流動性が高いことを表し、多くの投資家に注目されている株であることがわかります。
板が薄い場合は流動性が低い株ということです。流動性が低ければ、売りたい時に売れない可能性があります。
板を見る際は、どれだけ厚いか(薄いか)確認しましょう。
株式投資で板を活用するメリット
株式投資で板を活用すれば、相場の動きを予測しやすくなります。必要以上に高く買ったり安く売ったりしなくて済み、取引が活発で流動性が高い株を知ることもできます。
また、利確や損切りの判断に役立つのも板を活用するメリットです。
ここでは、株式投資で板を活用するメリットについて見ていきましょう。
相場の動きを予測しやすくなる
株式投資で板を活用するメリットの1つが、相場の動きを予測しやすくなることです。
「圧倒的に売数量のほうが多いので株価は下がっていくだろう」
「株価が下がっていて現在1,200円だが、これより下には多くの買い注文が入っているので上昇が期待できる」
「売数量に比べて買数量が多いので株価が上がる可能性がある」
など、板を見ることで、株価の短期的な動きをイメージしやすくなります。
板での予測に加えて、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を行えば、さらに相場予測の精度を高めることが可能です。
板情報は、短期的な株の動向を予測するのに役立ちます。
合理的な取引ができる
合理的な取引ができるのも、板を活用するメリットです。
板を見なければ、株の需給バランスがどのようになっているか、具体的に掴みづらいからです。
極端な話、実際には1,000円で買える株を1,500円で買い希望を出したりしてしまいます。
板の見方を身につけ情報を確認すれば、必要以上に高く買ったり安く売ったりせずに、合理的な取引ができます。
取引が活発な株がわかる
板を活用すれば、取引が活発な株がわかるのもメリットです。
売り注文・買い注文が多い板が厚い株は多くの取引が行われており、流動性が高いのが特徴です。
一方、売り注文・買い注文が少ない板が薄い株は取引量が少ないため、流動性が低い傾向があります。
このように、板を見れば取引が活発な株かどうかがわかります。
取引量が多く流動性が高い株や多くの人が注目している株を選び、取引することが可能です。
利確・損切り判断に役立つ
利確・損切り判断に役立つのも、板を活用するメリットです。
「現在の株価が1,000円で1,010円に大量の売り注文が入っているので、1,008〜1,009円で売って利確しよう」
「800円に多くの売り注文があるので801円以上で損切りをしよう」
など、板情報を見て、どのタイミングで利確・損切りをすると有利か予測ができます。
テクニカル分析やファンダメンタルズ分析、「●●円上がったら利確する」と自分で決めたルールなどで利確・損切りする方法もありますが、板情報を見て判断することも可能です。
株式投資で板を活用する際の注意点
板には、基本的に成行注文が反映されていません。反映されているのは指値注文だけですが、キャンセルが出ることもあります。
また、板だけで判断するのではなく、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と組み合わせて、総合的に判断することが大切です。
ここでは、株式投資で板を活用する際の注意点について見ていきましょう。
板には成行注文は出てこない
株式投資で板を活用する際の注意点の1つが、板に反映されているのは指値注文だけで成行注文は出てこないことです。
売数量・買数量の数字は指値注文が入っている株数になります。
値段を指定せずに注文する成行注文は、すぐに約定されるため板には反映されていません。
そのため、板に載っている数量が、その株の全取引株数を表しているわけではないので注意してください。
株の需給バランスを確認したり、利確・損切りをする際は「反映されているのは指値注文だけで、成行注文は出てこない」ということを理解したうえで、板を見るようにしてください。
ただし、寄り付き前には成行注文の株数も表示されます。
注文のキャンセルもある
板に表示されている売数量・買数量はすべて約定するわけではありません。
「1,050円で200株買いの指値注文を出していたけど、株価が下がりそうだからキャンセルする」
「800円で100株売りの指値注文を出していたけど、もっと上がりそうだから一旦取り消す」
など、指値注文を出していてもキャンセルとなる場合も多いです。
そのため、板に載っている数より実際の売買数は少なくなることもあります。
売数量・買数量に反映されているのは、あくまでも注文数であり、約定数でないことを理解しておく必要があります。
板情報だけで判断しない
板を見れば、いくらでどのくらい注文が入っているかわかるため、株価の動向予測に役立ちます。
しかし、板情報だけで動向を予測するのではなく、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析も行い、総合的に判断するようにしましょう。
板は短期的な相場動向を予測するのには役立ちますが、中長期的な予測は難しいからです。
また、成行注文も反映されていませんし、見せ板やキャンセルもあります。
移動平均線やボリンジャーバンドなどテクニカル指標を使った分析や、市場動向や業績などのファンダメンタルズ分析とも組み合わせることで、相場予測の精度を高められます。
板情報だけで判断するのではなく、他の分析も行い、多角的に相場を見るようにしましょう。
まとめ
板を見れば、いくらでどのくらい売買注文が入っているかがわかります。株価の動向を予測したり、利確・損切りの判断をするのに役立ちます。また、取引が活発な株を見つけたり、合理的な取引が可能です。
ただし、板を活用する際は成行注文が反映されていないことや、テクニカル分析・ファンダメンタルズ分析と組み合わせると効果的なことを覚えておきましょう。
早速、気になる株の板を見て、どのくらい注文が入っているか確認してみましょう。
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