「一日の出来高に対して空売り残高がどの程度あるか」を示すのが空売り残高比率です。
この値の大小により、空売りの買い戻しがどの程度株価に影響するかを推測することができます。
そんな空売り残高比率について、もう少し詳しく説明していきましょう。
目次
空売り残高比率とは何か
「空売り残高比率」とは、「その銘柄の1日の出来高に対して、空売り残高がどの程度あるか」を示す値です。
具体的には、以下のように算出することができます。
空売り残高比率(%)=空売り残高(株)÷1日の出来高(株)×100
なお、それぞれの用語の意味がわからないという方のために、必要な予備知識も簡単にご説明しておきましょう。
まず「空売り」とは、お金や株を借りておこなう「信用取引」の一種であり、証券会社に株を借り、それを売る取引のことです。
その株は期限までに買い戻して返済する必要があるのですが、借りて売った価格より安くその株を買い戻せれば、その差額が利益となります。
したがって、空売りとは株価の下落を見越しておこなうものなのです。(その株をあらかじめ同数持っている場合、それを返済に充てるという方法もある)
そして、空売りされ、まだ買い戻されておらず売り建て状態にあるその株数を、「空売り残高」といいます。
なお、空売り残高があるということは、借りた株を返済するためにいずれ買い戻す需要があることを示しています。
また「出来高」とは、一定期間中において、売買が成立した株数のことをいいます。
空売り残高比率はどう確認するか
では、具体的に空売り残高比率をどう確認するかを、見ていきましょう。
以下の画像1をご覧ください。ある日時での、ある銘柄の株価表示画面です。
そしてそれを少し下にスクロールさせたのが以下の画像2です。
赤線で囲んである部分が2ヶ所ありますが、上が「出来高」で、下が「空売り残高」です。
なお、空売り残高はここでは「信用売残」と表示されていますが、両者は同じ意味です。
お金を借りて株を買う「信用買い」に対して、株を借りてそれを売る「信用売り」が、「空売り」なのです。
ではこの例から、空売り残高比率を計算してみましょう。
この銘柄の場合、空売り残高が710,900株で、この日の出来高が15,068,000株です。
前述の式「空売り残高(株)÷1日の出来高(株)×100」に当てはめると、
710,900÷15,068,000×100=約4.72
となり、空売り残高比率は「約4.72%」だとわかります。
空売り残高比率から何がわかるか
例えば、空売り残高が同じ50万株であるA社とB社があったとします。
しかし、A社の1日出来高が100万株で、B社のそれが10万株だったとします。
すると、
A社空売り残高比率=50万÷100万×100=50%
B社空売り残高比率=50万÷10万×100=500%
となります。
これを比較すると、A社の場合は1日出来高の半分の空売り残高があり、B社の場合は1日出来高に対して5倍も空売り残高がある、ということになります。
したがって、同じ空売り残高を持つA社とB社ですが、買い戻し需要の強さはB社の方が大きいといえます。
1日の出来高と比べて考えると、B社の方が圧倒的に空売り残高が多いからです。
このように、同じ空売り残高であっても、買い戻し需要には強弱が生まれます。
そして空売り残高比率を計算することによって、それを推測することができるのです。
注意点
しかし、空売り残高比率だけで株価の上下を考えることには、危険性も伴います。
まず、空売りの反対となる信用買いもあり、こちらはお金を借りて株を買う行為なのですが、この信用買い残高がある場合にも、反対売買の需要があるからです。
つまり、信用買い残高の分だけ、それを売って現金化してお金の返済に充てる需要がある、ということです。
ですから、空売り残高とともに、信用買い残高のことも考えなければいけません。
たとえ空売り残高や空売り残高比率が大きくても、それ以上に信用買い残高が多い場合は、今後売りの需要も強いといえるからです。
なお、信用買い残高と空売り残高の比率を、「貸借倍率」または「信用倍率」または「取組倍率」などと呼びます。
また、空売り残高の買い戻しは、「返済期限までに」おこなわれるものですから、ずっと先の話になる可能性もあります。
ですから、短期売買をしようとしている場合などは特に、空売り残高や空売り残高比率の大きさによって株価変動を予測しようとしても、当てにならないともいえます。
これらの要因以外にも、様々な要因によって株価は変動します。
ですから空売り残高比率は、あくまでそんな複数要因の1つとして考えておくことが、賢明ではないでしょうか。
空売り残高比率から後の買い需要を推測できるが、それはあくまで一要因
「空売り残高比率」とは、「その銘柄の1日の出来高に対して、空売り残高がどの程度あるか」を示す値です。
同じ空売り残高を有する銘柄でも今後の買い需要には強弱があり、それを推測できるのが空売り残高比率です。
しかし、その他いろいろな要因によって株価は変動しますので、空売り残高比率は、あくまでそんな複数要因の1つとして考えておくことが賢明な姿勢でしょう。
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