株式投資における踏み上げとは売り建てていた投資家が損失を承知の上で買い戻しをおこない、現物買いや信用買いの投資家もあわせて買いに向かうことで起こる強烈な上昇相場を意味します。
この記事ではそんな「踏み上げ」について、なぜ起こるのか、どのような時に起こるのか、その見つけ方や予兆はあるのかなど踏み込んで分かりやすく解説していきます。
目次
踏み上げとは
踏み上げとは売り玉を持っている投資家が株価上昇に耐えきれず損失覚悟で買い戻しを行うことで更に株価が上昇する現象をさします。
このとき、株価が上昇するに従い「買い」で参入している投資家や踏み上げが始まったと察した投資家の更なる「買い」の注文により株価が高騰することがしばしば見受けられます。
これを「踏み上げ相場」と呼びます。
踏み上げは自然に発生する場合と故意的に発生させられる場合がある
踏み上げは自然に発生する場合と故意的に発生させられる場合があります。
故意的に発生させるのは「仕手筋」です。
仕手筋は踏み上げが発生しそうな銘柄を狙って「信用買い」「信用売り」「現引き」「現渡し」など様々な手法を使って踏み上げを発生させ株価を吊り上げ、高値で売り抜けていきます。
踏み上げが発生しそうだなと感じた場合、あなたが買い方の場合は便乗、売り方の場合はすぐに撤退するようにしましょう。
踏み上げはなぜ起こるのか?
踏み上げは様々な要因が絡み合って起こります。今回は下記2つのパターンについて説明します。
- 信用取引返済期限の6ヶ月
- ダウントレンドの赤字企業からポジティブなIR発表
①信用取引返済期限の6ヶ月
踏み上げが起こる可能性のある1つ目の要因は「信用取引返済期限の6ヶ月」に関係しています。
信用取引は買い建ても売り建ても一般的には6ヶ月が期限とされています。
ある銘柄において下方修正や不祥事等のネガティブな発表があったとしましょう。ネガティブ情報発信後、一般的にその銘柄の株価は急落します。
そうなるとここぞとばかりに一斉に空売りが急増しますよね?そのまま、株価が下落を続ければその後に空売りの買い戻しを行い、踏み上げは起きません。
しかし、一時的な下落だけに留まり元の株価まですぐに戻った場合はどうでしょうか?空売りの買い戻しをし損ねてそのまま保有する人もいるでしょう。
そのまま株価は上がりもせず下がりもせず売り場がないまま6ヶ月が経過すると何が起こるのでしょうか。
そうです。6か月前に一斉に空売りが行われたその返済期限がやってくるのです。強制的に買い戻しが行われ、踏み上げ相場が始まるのです。
②ダウントレンドの赤字企業からポジティブなIR発表
踏み上げが起こる可能性のある2つ目の要因は「ダウントレンドの赤字企業からポジティブなIR発表」があったときです。
ダウントレンドの赤字企業は空売りをしたい投資家が最も標的にしやすい銘柄のひとつです。
トレンドは下げ基調で業績も良くないのであれば今後の株価が急上昇することはほぼなく、だらだらと下げ続けるだろうと誰もが予想できますよね。
そんなダウントレンドの赤字企業から「上方修正」「黒字化」「世界初の技術の開発に成功」「優良企業と業務提携」「TOB(株式公開買い付け)」等のポジティブなIRが出た場合どうなると思いますか?
今まで市場に相手にされてもいなかった銘柄が一気に注目を浴び、買いが殺到します。
そこで困るのは空売りをしていた売り方です。「ダウントレンドの赤字企業」なので空売りをしていたのに180度方向転換し一気にアップトレンドの黒字(優良)企業へと変貌してしまったので、損失覚悟で買い戻しに走るでしょう。
このように一気に買いが集中し、そこに空売りの買い戻しも巻き込んで株価は暴騰します。中小企業で時価増額が低い企業であれば一瞬でストップ高になることも珍しくないでしょう。
このようにして空売りの踏み上げが起こるのです。
踏み上げ相場となりそうな銘柄の特徴
踏み上げ相場となりそうな銘柄の特徴は数多くあります。その特徴に多く当てはまっている銘柄ほど踏み上げ相場になる可能性が高いです。
以下にその特徴をまとめした。
- 「発行済み株数」「浮動株」「空売り残」「信用倍率」の関係
- 売り禁となった銘柄
- レーディングが「売り」や「中立」から「買い」になった銘柄
- 信用取引返済期限の6ヶ月
- ダウントレンドの赤字企業からポジティブなIR発表
④⑤については先ほど紹介しましたので、①から③について詳しく説明していきますね。
①「浮動株」「出来高」「空売り残」「信用倍率」の関係
踏み上げ相場となりそうな銘柄の特徴の1つ目は「浮動株」「出来高」「空売り残」「信用倍率」の関係から読み取れます。
上で説明した通り、踏み上げは仕手筋により故意的に発生させられる場合があります。
では仕手筋が踏み上げを発生させやすい銘柄はどんな銘柄なのでしょうか?
それは株価操縦がしやすい「浮動株」が少なく、日々の「出来高」が少ない銘柄です。
更に「空売り残」が多く「信用倍率」の小さい銘柄は、空売りをしている個人投資家が多い銘柄なので少し株価を吊り上げると我先にと損切りの買い戻しが発生しやすく、踏み上げ相場に発展しやすい傾向にあります。
信用倍率とは
信用倍率とは、「信用買い残」/「信用売り残」で求められる数字です。
値が1に近ければ「信用買い残」と「信用売り残」のバランスが保たれている状態です。
値が1未満で0に近ければ近いほど「信用売り残」の方が多い状態であり、将来の買い圧力になります。
値が1より大きいほど「信用買い残」が多い状態であり、将来の売り圧力になります。
SBI証券の画像を例に計算してみましょう。
信用売り残:432,200株
信用買い残: 32,800株
信用倍率 :32,800/432,200≒0.08
となります。
②売り禁となった銘柄
踏み上げ相場となりそうな銘柄の特徴の2つ目は売り禁となった銘柄です。
売り禁とは正式名「貸借取引の申込停止措置」であり、簡単に言うと新規の空売りは禁止。という意味です。
売り禁となった銘柄がなぜ踏み上げられるの?と感じると思いますが順番に考えていけばわかるので説明しますね。
そもそも売り禁はどういう状況なのか簡単に説明しますと、「空売り残が多すぎるからこれ以上新規の空売りは禁止!」という状況です。
新規の空売りは禁止されても、「空売り残」は大量にあるわけです。この空売り残はいずれ買い戻す必要がありますよね?
買い方からすれば新規の空売りが規制されこれ以上空売りがないわけですから、安心して買いに向かうことができます。
そうすると売り禁以降は株価が上がりやすい傾向にあります。株価が上がっても売り方は空売りができずに株価はどんどん上昇しますよね?
売り建てをしている人は利益確定もしくは損失を最低限にするために買い戻しを始めます。これにより買い方も売り方も買いにまわり株価は一気に暴騰し踏み上げ相場が発生します。
ただし、このパターンの場合気を付けてほしいことがあります。
それは、もともと何か悪い状況もしくは株価が高すぎると判断されたために売り禁となるほど空売りがされていたという事実です。
そして、売り禁となっただけで企業としては何も好転していません。つまり、会社の評価が良くて株価が上昇しているわけではないので、暴騰したとしてもすぐに急落することが多いです。
それもわかった上で、エントリーしたい方はデイトレードや1日単位の短期売買に限定してトレードすることをおすすめします。
③レーディングが「売り」や「中立」から「買い」になった銘柄
踏み上げ相場となりそうな銘柄の特徴の3つ目はレーディングが「売り」や「中立」から「買い」になった銘柄です。
レーディングとは証券会社や調査会社が中立な立場で各銘柄に対し、現在の株価は「適正」か「高すぎる」か「安すぎる」かを判断し、「買い」「中立」「売り」の指標を示すことを言います。
このレーディングが「売り」や「中立」から「買い」になった銘柄はそのレーディングに基づき株価が推移することが多いです。
特に「売り」から「買い」になった場合は、強烈な買い圧力になることも珍しくありません。
この時空売りをしている売り方はレーディングの変更による株価上昇圧力を抑えることができずに損失覚悟で買い戻しを行い、踏み上げ相場へとなることがあります。
踏み上げが起きそうな銘柄の検索方法
踏み上げが起きそうな銘柄の検索方法は「出来高」「空売り残」「信用倍率」からスクリーニングする方法です。
先ほども説明した通り、「出来高が少ない」「空売り残が多い」「信用倍率が1より小さいく0に近い」銘柄は踏み上げが起こりやすいです。
出来高が少なく空売り残が多い場合、買い戻そうにも出来高が少なすぎて株価が高騰してしましますよね?
例えば1日の平均出来高が10,000株の銘柄で100,000株の空売り残を買い戻そうとすると最低でも10日かかります。
1日の平均出来高が1,000,000株の銘柄で100,000株の空売り残を買い戻そうとすると1日でできそうですよね。
このように同じ空売り残量でも出来高が少ないと買い戻したくても買い戻せないので、踏み上げ相場となりやすいです。
それでは実際にSBI証券を例に「出来高」「空売り残」「信用倍率」からスクリーニングする方法を見てみましょう。
出来高はスクリーニングの項目にないので「平均売買代金(千円)5日」にしております。この項目は5日の平均出来高と平均株価を掛け合わせたものになります。
このようにスクリーニングをかけることで14個の銘柄がヒットしました。
この中から気になる銘柄をピックアップして、踏み上げが起きそうかを監視しましょう。
ちなみにこのスクリーニングの項目はベースとなるものなので、この3項目で数字を変えて自分なりに調整をしたり、別の項目を付け足したりしてスクリーニングすることも検討していきましょう。
まとめ
踏み上げとは売り建てていた投資家が損失を承知の上で買い戻しをおこない、現物買いや信用買いの投資家もあわせて買いに向かうことで起こる強烈な上昇相場を意味します。
株式の「踏み上げ」についてこの記事内でお伝えした、様々な情報を以下にまとめました。
- 踏み上げは自然に発生する場合と仕手筋が故意的に発生させる場合がある
- 踏み上げ相場となる銘柄の特徴は以下の5つです
- 「発行済み株数」「浮動株」「空売り残」「信用倍率」の関係
- 売り禁となった銘柄
- レーディングが「売り」や「中立」から「買い」になった銘柄
- 信用取引返済期限の6ヶ月
- ダウントレンドの赤字企業からポジティブなIR発表
- 踏み上げが起きそうな銘柄の検索方法は「出来高(平均売買代金)」「空売り残」「信用倍率」からスクリーニングする。
この記事を読んで頂いた方は「踏み上げ」とは何なのか、どんなときに起こるのか。踏み上げしそうな銘柄の検索方法について理解して頂けたと思います。
踏み上げが発生するときは株価変動が大きく利益を得るチャンスです。
事前に踏み上げしそうな銘柄を監視しておき、いざ踏み上げが始まったらすぐに参加できるように準備しておきましょう。
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