株式を保有して資産形成をしていくことを検討している人なら、「株式投資で大きく稼いで多くの資産を築きたい」「短期間で資産を増やすのではなく、長期間で値下がりしにくい株を保有し続けたい」と考えたことがあるのではないでしょうか。
短期的に値上がりし続ける銘柄を選びたいときは、ボラティリティ(変動率)が高いものを、長期的に値下がりのリスクを減らして保有していきたいときには、ボラティリティ(変動率)が低いものを選ぶ必要があります。
この記事では、短期でデイトレをする人も、長期で資産形成をしていく人も重要になってくるボラティリティ(変動率)の概念を解説していきます。
目次
ボラティティ(変動率)とは
ボラティリティ(変動率)とは、株価変動の度合いを表す指標で、リスクの大きさを読み取ることができます。
一般的に、ボラティリティ(変動率)が大きいと、市場の期待収益率から大きく外れる可能性が高まり、リスクが大きくなると考えられます。
リスクは大きくなりますが、その投資対象から得られる期待リターンも大きくなるため、資産を短期間で2倍3倍にするようなデイトレなどの短期投資で利用されることが多いです。
一方、ボラティリティ(変動率)が小さいと、市場の期待収益率に集約される可能性が高まり、リスクが小さくなると考えられます。
こちらはリスクが小さくなりますが、その投資対象から得られる期待リターンも小さくなることが多いため、中長期での資産運用を目的として投資をする際に利用されることが多いです。
では、ボラティリティ(変動率)はチャートでみるとどのようなものなのでしょうか。以下は直近2年間の日経平均株価とボラティリティ(変動率)のチャートです。(2021年12月4日現在時点)
株価のボラティリティ(変動率)を表す指標として用いられるのが、今回のチャートにも記載されているHV(ヒステリカル・ボラティリティ)です。
ヒステリカル・ボラティリティは、過去の株価変動率をもとに計算される指標であり、統計学の標準偏差を使って表します。
そのため、このように0~100の間を推移しており、2020年のコロナショックによる日経平均の株価大暴落のような大きな株価の変化が起きると、ヒステリカル・ボラティリティは高くなっていきます。
最近では、ヒステリカル・ボラティリティが10~30の間を推移しており、歴史的に見ても大きな値動きはしていないと考えられます。
短期投資でボラティリティ(変動率)を活用する
ここまで、ボラティリティ(変動率)とは何なのか、チャート分析で活用するHV(ヒステリック・ボラティリティ)の基本情報について説明してきました。
ここからは、短期投資でボラティリティ(変動率)を活用するときのポイントについて解説していきます。
ポイントは以下の通りです。
- HV(ヒステリカル・ボラティリティ)が大きいものに投資する
- 目安は50以上(銘柄ごとに異なる・日経平均株価より目安を算出)
- 株価の上昇局面で買いに入る
デイトレやスイングトレードのような短期投資を行う際には、短期間で株価が大きく値上がりする銘柄を選定する必要があります。
そのため、銘柄の平均変動率の大きさにより前後はありますが、ヒステリカル・ボラティリティが50以上の銘柄を選びましょう。
また、ヒステリカル・ボラティリティはあくまで直近の株価の変動率です。そのため、直近の株価が大きく下落していてもボラティリティは高くなります。
短期投資の際には、ボラティリティ(変動率)だけでなく、直近の株価の推移とトレンドも見ておくことが必要です。
以下はネット証券大手のSBI証券において、実際に日経平均搭載銘柄の中から直近60日間のヒステリカル・ボラティリティが50以上の銘柄をスクリーニングした結果です。(2021年12月4日現在時点)
今回のスクリーニングの結果では、すべての銘柄が前日比からプラスの値動きをしていましたが、2日3日単位でみると急落していたということも考えられるので、購入をする際は株価の確認を怠らないようにしましょう。
長期投資でボラティリティ(変動率)を活用する
ここまで、短期投資においては株価の変動方向を意識しつつボラティリティ(変動率)の高い銘柄を選定することをポイントとして説明させていただきました。
では、長期投資においてはどのようにボラティリティ(変動率)を活用したら良いのかを解説していきます。
ポイントは以下の通りです。
- HV(ヒステリカル・ボラティリティ)が小さいものに投資する
- 目安は20以下(銘柄ごとに異なる・日経平均株価より目安を算出)
- 長期間にわたるボラティリティを参考にする
20年30年と時間をかけてじっくりと資産の拡大を図っていく中長期投資の場合は、資産が大きく値下がりをするのを防ぐために暴落局面でも大きな株価下落をしないような銘柄を選ぶ必要があります。
そのため、銘柄の平均変動率の大きさにより前後はありますが、ヒステリカル・ボラティリティが20以下の銘柄を選ぶことが得策といえるでしょう。
また、中長期間にわたり保有する銘柄を選定する場合は、過去数十年にわたってのヒステリカル・ボラティティを参考にする必要があります。
今回利用しているSBI証券では直近60日間のヒステリカル・ボラティリティでのスクリーニングは可能ですが、より長期間のヒステリカル・ボラティリティを参考にしたい場合は、トレーディングビューなどのテクニカルチャートツールを使用することをおすすめします。
以下がSBI証券にて過去60日間のボラティティ20以下の銘柄をスクリーニングした結果です。(2021年12月4日現在時点)
銘柄の詳細を見ていくと、日清製粉グループ本社(銘柄コード:2002)や日本たばこ産業(銘柄コード:2914)といった一般消費財のセクター銘柄が多いです。
ボラティリティ(変動率)を活用する際の注意点
ここまで、短期投資においても中長期投資においても、銘柄のスクリーニングにボラティティ(変動率)が使えることを説明してきましたが、実際にあなたが活用するうえでの注意点をいくつか押さえておきましょう。
- ボラティリティ(変動率)は株価の方向性まで示す指標ではない
- ボラティリティ(変動率)が高い銘柄の流動性リスクを認識する
- 参考にすべきボラティリティ(変動率)は銘柄によって異なる
短期投資におけるボラティリティ(変動率)のスクリーニングのポイントでも説明したように、ボラティリティ(変動率)はあくまで株価の値動きの激しさを示す指標であり、必ず上昇方向に値動きがある銘柄ではありません。
ボラティリティ(変動率)のスクリーニングから選定した銘柄を購入する際は、必ず株価の確認をしましょう。
また、ボラティリティ(変動率)が大きいということは、市場において買い注文と売り注文が殺到しているケースが多いため、流動性が低くなり、買いたい値段で買えなかったり、売りたい値段で売れなかったりします。
流動性の大きさも視野に入れた銘柄スクリーニングを心掛けましょう。
さらに、日経平均株価のボラティリティ(変動率)の参考にすべき値と、ビットコインなどの仮想通貨のボラティリティ(変動率)の参考にすべき値は異なります。
これは、銘柄ごとに平均ボラティリティに違いがあるためです。
短期投資、中長期投資限らず、銘柄ごとに参考にすべきボラティリティ(変動率)の値を過去のチャートから導き出すことが有効な投資につながるでしょう。
正しく指標を利用することで強力な武器になる
ここまで、株式投資における銘柄スクリーニングで押さえておきたいポイントと注意点を短期投資と中長期投資の視点に分けて解説してきました。
結論から言うと、ボラティリティ(変動率)に着目して銘柄のスクリーニングを行うことは大変便利で有効な手段といえるでしょう。
しかし、注意点でも説明したように、ボラティリティ(変動率)の大きさは各銘柄によって大きな違いが生まれてくることが多いです。
銘柄ごとに個別に株価のチャートをみること、別の指標もあわせてみることでボラティリティ(変動率)スクリーニングに信憑性を持たせることが重要になってくるでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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