株に強制ロスカットはあるか?【保有株が強制決済される事態を解説】

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FXやCFDなどには「強制ロスカット」があります。では、株にも強制ロスカットはあるのでしょうか?ある場合はどのようなときに起きるのか、起きるとどうなるのか、どうやったら防げるのかなども気になるかと思います。 この記事を読めばその答えがすぐ分かりますので参考にしてください。

目次

株に強制ロスカットはない

株に強制ロスカットという概念はありません。

強制ロスカットはFXやCFDなどの「レバレッジ取引」に適用されるものだからです。

レバレッジ取引とは、証拠金を預けてその証拠金以上の取引をするというものになります。例えば、証拠金が10万円でレバレッジ15倍なら「10万円×15=150万円」となり、150万円分の取引が可能です。

レバレッジ取引には口座残高がマイナスになってしまうケースがあります。証拠金以上の取引をしているため、損失が証拠金以上になる可能性があるのです。そうした事態を防ぐためにFXやCFDでは強制ロスカットがあるのです。

株は現物取引がメイン!口座残高がマイナスにならない

株の場合は「現物取引」が基本です。

現物取引というのは現金で株を買うことを意味します。例えば、口座に50万円があるなら最高50万円の取引しかできません。ただし、50万円以上の損はでないです。株価が0円になればそれ以上の損失は無いからです。

仮に50万円分の株を買ったとしましょう。その後、株価がどんなに値下がりしたとしても0円が限度です。株価が0円になった際の損失額は50万円となります。そのため、レバレッジ取引のように口座資金がマイナスになることはないのです。

このように株は現物取引が一般的であるため、強制ロスカットは基本的に無いのです。ただし、株にもレバレッジを使える「信用取引」があります。その点を次章で解説していますのでこのままお読みください。

株に強制ロスカットは無いが信用取引では「追証」が存在する

株に強制ロスカットはありませんが「追証(おいしょう)」が存在すると知っておきましょう。

追証とは「追加保証金」の略で、保証金に不足が発生して追加で入金しないといけない状態を指します。

株には「現物買い」の他に「信用取引」があります。信用取引とは、保証金を担保にそれ以上の金額の取引をするというものです。FXやCFDなどのレバレッッジ取引とほぼ同じになります。

信用取引をしているときは保証金が不足する事態が発生することがあります。そうした場合、追加で入金が必要です。それを追証と呼ぶのです。

追証が発生する仕組みと例を解説

追証が発生するのは各社が定める「最低保証金維持率」を下回ったときです。

最低保証金維持率とは、「保証金維持率を○○%以上にしてください」というものであり、保証金維持率は以下のように計算されます。

保証金維持率=保証金(現金+保有株の損益)÷建玉約定代金×100

例えば、保証金が100万円のときに建玉約定代金が200万円であれば、以下のように計算します。

100万円÷200万円×100=50

上記の場合は保証金維持率が50%です。この保証金維持率は各証券会社が定める最低委託保証金維持率にしないといけません。

証券会社名最低委託保証金維持率
楽天証券20%
SBI証券20%
SMBC日興証券25%

もし、最低委託保証金維持率を下回った場合は追加で入金をしないといけません。入金をして保証金維持率を最低委託保証金維持率以上にする必要があるのです。

例えば、楽天証券で信用取引をしているときに損失が発生し、保証金維持率が17%になったとします。この場合、追加入金をして保証金維持率を20%以上にする必要があります。

仮に100万円の取引をしているときなら、保証金を100万円の20%以上である20万円以上にするということです。保証金維持率が17%ですと保証金は17万円ですので最低でも3万円は入金しないといけないということになります。

もし追証になったらどうなるのか?

「追証になったらどうなるのか不安・・・」このような人も多いかと思います。追証になると起こることはおもに次の3つです。

追証後に起こることはこの3つ
  1. 証券会社から追加入金の指示が来る
  2. 追証解消まで新規の売買ができなくなる
  3. 期限までに追証が解消されないとポジションが決済される

まず、追証になると「期限までに追加入金をして、保証金維持率を最低保証金維持率よりも上にしてください」という連絡が証券会社から来ます。連絡方法はネット証券であればメールが主流です。

追証後は新規の売買ができなくなるのが一般的です。そうなると追証を解消するまで解除されることはありません。

期限までに追証を解消しないとポジションが全決済されるのが基本です。決済したポジションで追証を解消したり、一部返済したりするのです。

追証の解消期限は翌々営業日

追証の解消期限は追証が発生した日の翌々営業日です。

例えば、10日に追証が発生したとすればその翌々営業日である13日が解消の期限になります。つまり、3日の猶予があるということです。

だだし、保証金維持率によって追証の解消期限を翌営業日にする証券会社もあるので注意してください。例えば、「松井証券」では保証金維持率が10%以下だと解消期限が翌営業日の11時30分までとなります。

追証を解消するための方法はこの2つ

前章でお伝えしたとおり、追証になると翌々営業日までに解消しないといけません。

解消方法は以下の2つがあります。

追証の解消方法
  1. 証券会社に現金を振込む
  2. 保有ポジションを決済して返済する

詳しくは次章でお伝えしていますのでそちらをご確認ください。

証券会社に現金を振込む

証券会社に現金を振込みして保証金維持率をお使いの証券会社が定める最低保証金維持率以上にします。

最低保証金維持率が25%なら保証金維持率を25%以上にするということです。

100万円の取引をしているとき最低保証金維持率が25%なら25万円の保証金が必要です。このとき、保証金維持率が20%になったとします。その場合、保証金は20万円ですので「25万円-25万円=5万円」となり、最低5万円を追加入金する必要があります。

保有ポジションを決済して返済する

保有ポジションを決済して返済する方法もあります。

この方法は保有ポジションを決済することにより、追証額を全額または一部解消する方法です。

追証中に保有ポジションを決済すると決済した金額の○○%が追証金額から差引かれます。例えば、以下の3社では次のようになっています。

証券会社名ポジション決済で追証金額から差引かれる割合
SMBC日興証券決済額の30%
SBI証券決済額の20%
楽天証券決済額の20%

仮にポジション決済額が100万円であれば、SMBC日興証券なら決済額の30%ですので30万円が追証金額から差引かれます。SBI証券なら決済額の20%ですので差引かれるのは20万円です。

ポジション決済の金額が追証額と同等もしくは大きいなら追証は解消されます。(余った金額は口座に返却されます)ただし、ポジション決済の金額が追証額より小さいと追証は解消されません。不足している分を追加入金しないといけないので注意してください。

相場が回復しても追証は解消されないので注意!

相場が回復して保証金維持率が最低保証金維持率以上になっても追証は解消されないと知っておきましょう。

保証金維持率は「保証金維持率=保証金(現金+保有株の損益)÷建玉約定代金×100」で算出されますので株価の変動で変わります。しかし、一度追証になると保証金維持率が最低保証金維持率以上になっても追証が自然と回復することは無いのです。

例えば、最低保証金維持率が20%の会社で保証金維持率が18%になってしまい追証が発生したとします。このとき相場が回復して保証金維持率が20%以上になっても追証は解消されません。通常どおり、追加入金かポジション決済で追証を解消する必要があります。

追証を防ぐための3つのポイントを

FXやCFDなどには「強制ロスカット」があります。では、株にも強制ロスカットはあるのでしょうか?ある場合はどのようなときに起きるのか、起きるとどうなるのか、どうやったら防げるのかなども気になるかと思います。 この記事を読めばその答えがすぐ分かりますので参考にしてください。

追証は借金ですし状況によっては大きな金額になることもあるため、絶対防ぎたいです。追証を防ぐためには次の3つのポイントが重要になります。

追証を防ぐにはこの3つが重要
  1. 資金ギリギリで取引しない
  2. 損切りを素早くする
  3. 二階建て取引の禁止

詳しくは次章でお伝えしています。

資金ギリギリで取引しない

資金ギリギリで取引しないようにしましょう。

資金ギリギリで取引するほど保証金維持率に余裕が無くなり、追証になる可能性が高くなるからです。

信用取引では約3倍のレバレッジが使えますがこれはあくまで最大にした場合です。レバレッジが高いほど利益は得られますが損も大きくなります。無理に最大レバレッジにせずにもっと低い倍率で取引し、資金に余裕を持つのがおすすめです。

損切りを素早くする

損切りを素早くするのも大事です。追証になる原因で多いのは損切りをしなかったというものが多いからです。

損切りは損を確定させる行為ですので躊躇してしまう人も多いです。しかし、損切りしなかったことで傷口を広げてしまい損失額が大きくなることは多々あります。取引が上手くいっていないと感じたらすぐに損切りしてしまったほうが良いです。

二階建て取引の禁止

二階建て取引は禁止したほうが良いです。二階建て取引とは現物買いした銘柄を担保に信用買いする方法です。

例えば、銘柄Xを現物買いで50万円分購入しとします。この銘柄Xを担保にして信用買いでさらに銘柄Xを購入するのです。購入すると、「50万円×80%((代用有価証券の掛け目)÷30%(委託保証金率)=約133万円」となり、銘柄Xを新たに約133万円保有できます。

このため、現物買いの50万円と信用買いの約133万円の2つを保有でき、約188万円の投資額となるのです。そうしたことから、現物取引だけのときよりも多く株を保有することが可能です。

しかし、二階建て取引はリスクが高いです。同じ銘柄を現物買いと信用買いの両方で保有しているため、株価が下落したときにダブルパンチで損失が発生するからです。保証金維持率の低下も加速するため、追証になる可能性も上がります。そうしたことから、二階建て取引は禁止したほうが良いのです。

まとめ

株に強制ロスカットという言葉はありません。ただし、信用取引をしているときには「追証」があります。追証になると追加入金が必要になるので注意が必要です。

また、追証になると「解消するまで新規の売買ができなくなる」・「期限までに解消しないとポジションが決済される」という点も気をつけておかないといけません。

追証の解消期限は追証発生日から翌々営業日です。よって3日の期限があります。追証を解消するには「証券会社に追加入金する」・「保有ポジションを決済して返済に充てる」という2つの方法があります。

追証は絶対防ぎたいため、次の3つを参考にして回避できる体制を整えておくことも大事です。

  1. 資金ギリギリで取引しない
  2. 損切りを素早くする
  3. 二階建て取引の禁止

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